「ビタミンCを摂ると腎臓結石や尿管結石になる」と、見かけることがあります。

 

ネットでも見かけるこの話、聞いたことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか?

 

「この仮説は科学的に完全に否定されています」と答えていただいたのは、ビタミンC研究の専門家である東京都健康長寿医療センター研究所 研究部長 石神昭人先生。

 

では、なぜこの仮説が広がったのでしょうか?

 

背景を調べてみましたのでご紹介します。

結石になるリスクが2倍?

2013年、米国医師会雑誌にビタミンCが腎臓結石症の発生リスクを2倍にするという論文が報告されると様々なメディアで取り上げられました1)。

 

結石になるリスクが2倍になる?

 

これだけ聞くと、確かに不安になります。

 

しかし、この論文の調査結果は、ビタミンCを飲んでいないグループで0.16%、ビタミンCを飲んでいるグループは0.31%とわずかな増加なのです。

 

人数でいうと、10万人あたりビタミンCを飲んでいないグループが163人、ビタミンCを飲んでいたグループが310人となります。

 

例えば、1円を2倍にすると2円。2倍も差がある!

 

と、いうのは間違ってはいませんが、誤解を生む表現と責められても仕方ないのではないでしょうか。

 

そのため、この調査が問題となったのです。

 

この研究手法では、結石の原因がビタミンCといえないこと、また、食事調査が詳細でないことや腎臓結石の種類を分析していないことなど、次から次へと世界中の科学者からさまざまな問題点が指摘されました。

 

 

 

ビタミンCは結石を作らない

1999年にハーバード大学の研究グループが、尿管結石の既往がないなったことがない)85,557人の女性を14年間追跡し、尿管結石症の発症とビタミンCやビタミンBなどの栄養素の摂取の関係について調査しました。

 

その結果は、ビタミンCの摂取は尿管結石症に関係しないというものでした。

 

レポートでは、尿管結石の予防にビタミンCを制限することは意味がないと報告されています2)。

 

さらに、この研究に限らず、ビタミンCが腎臓結石症の原因とはならないという結果が多く報告されています3-5)。

 

 

腎臓・尿路結石症は、ビタミンCの摂取が原因ではなく、最大の要因は、生活習慣や食生活の問題、肥満や運動不足、タンパク質・脂肪の摂り過ぎ、糖分の摂り過ぎなどが原因とされています。

 

皆さま、これからも安心してビタミンCをお召し上がりください。

 

1)Ascorbic acid supplements and kidney stone incidence among men: a prospective study.  JAMA Intern Med. 2013 Mar 11;1735):386-8.

2)Intake of vitamins B6 and C and the risk of kidney stones in women.  J Am Soc Nephrol. 1999 Apr;104):840-5.

3)A prospective study of the intake of vitamins C and B6, and the risk of kidney stones in men.  J Urol. 1996 Jun;1556):1847-51.

4)Relation of serum ascorbic acid to serum vitamin B12, serum ferritin, and kidney stones in US adults.  Arch Intern Med. 1999 Mar 22;1596):619-24.

5)No Reported Renal Stones with Intravenous Vitamin C Administration: A Prospective Case Series Study.  Antioxidants Basel. 2018 May; (75): 68.

※このコラムで紹介した情報は、一般的な知識のみを目的としたものであり、栄養素の効果・効能を保証するものではありません。
※専門的な医学的アドバイスや特定の病状に対する治療の代わりとはなりません。